2011年4月13日水曜日

のび太「羽生蛇村?」

関連スレ
のび太「羽生蛇村?」一章
http://kanisokuhou.doorblog.jp/archives/51068269.html
のび太「羽生蛇村?」二章
http://kanisokuhou.doorblog.jp/archives/51068714.html




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250 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 15:59:43.68 ID:xSBPy5VB0

【剛田 武 第2日3:33:00 蛭ノ塚 水蛭子神社湧水】

ジャイアン「全く、いやな水だぜ」

バットでこんこんと沸き出る紅い水を切り、吐き捨てる。

ジャイアン「多門さんに教えてもらってなかったら、危うく飲んでたかもしれねえな」

数時間前、ジャイアンは竹内多門と名乗る男と、その自称助手の安野依子と名乗る女性に出会っていた。

そして、ここが何であるのか、この赤い水がどのような効果をもたらす恐れがあるのかを、断片的ながら聞いていた。

ジャイアン「多門さんに聞いてもあいつらを見てねえって言ってたしな・・・
本当に皆どこにいっちまったんだよ」

探しても見つからぬ仲間達。

増えていく屍人。

ともすれば覗く不安を拭うように、ジャイアンは歌い始めた。

ジャイアン「俺は゛ジャイ゛ーーーーーーア゛ン!!!!!
ガーーーーーーーキ大将゛ッッ!! 天下ッ無敵の゛ッ男だぜーーーーーーーー!!!!!!」




???「な、なによこの怪音波はぁーーーーー!?」








251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:00:45.91 ID:xSBPy5VB0

泉の向こう側で、女の人と思しき声が聞こえてきた。

ジャイアン「なにぃー!?俺様の美声を怪音波だと~~!?
この野郎、ぶん殴ってやる!」

鼻息荒く、声の方向へと走っていく。

そこには、今にも紅い水に入りそうな女性がいた。

ジャイアン「おい、それに触れちゃダメだ!」

女性を引っ張って、紅い水からひきはがす。

女性は、狂ったように手足をじたばたさせながら抵抗する。

???「離してよっ!私は永遠の若さを手に入れたいの!!」

ジャイアン「この水に浸かったってそんなもの手に入んねえよ!
化けものになりたいのか!」

???「う、嘘よっ!この水に浸かれば永遠の若さが手に入るって・・・」

ジャイアン「そんなわけあるか!化物になっちまっておしまいだぁ!
あれが永遠の若さだってんなら、そうなのかも知れねえけどな!」


保守大感謝。猿&ボボンと戦いながら投下していきます。








253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:01:40.76 ID:w+XbsVoN0

キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!






254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:03:28.44 ID:xSBPy5VB0

???「そ、そんな・・・・・じゃあ私がここに来た意味なんて・・・
そもそもなかったというの・・・?」

女性の抵抗が止み、がっくりとうなだれる。

ジャイアン「悪い事は言わねえから、考えなおしなよ。
それはそうと、俺様の美声を怪音波と言ってくれたのは貴女様ですかぁ~?」パキポキ

先程とは打って変わって綺麗な、しかし怒気の籠った声でたずねる。

指の骨を、下手をすればお前もこうなるぞといわんばかりに鳴らしながら。

その威圧感はこの怪異の中一層磨かれており、大人である女性を気押すに十分なものになっていた。

???「う・・・・・あ、あれはちょっと耳がおかしくて変に聞こえてしまったの!
ほら、こんな状況でしょ?今思い出したら、良い声だったわっ!」

ジャイアン「むふふ、そうだろそうだろ!そうだと思ってたぜ。
そう言えば、お姉さんの名前は?俺は剛田武。友達からはジャイアンって呼ばれてるから、ジャイアンで良いぜ」

美浜「美浜奈保子よ。元グラビアアイドル、今はTVレポーターをやってるわ」








256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:04:39.00 ID:xSBPy5VB0

ジャイアン「美浜奈保子・・・・もしかして、ドラマのハートはドキ土器に出演してた方ですか!?」

美浜「あら、知ってるの?こんな小さな子供にまで知ってもらえてるなんて、やっぱり私は人気者だったのね。
それが今じゃ・・・・・・」

心霊番組レポーターなんてやらされて。

こんな目にあって。

ジャイアン「今は、どんなお仕事をなさってるんですか?」

すっかり敬語になったジャイアンを一瞥してから、自嘲気味に言う。

美浜「言った通り、TVレポーター。ここに来たのも、心霊番組のレポーターに抜擢されたからよ」

ジャイアン「へぇ~、じゃあここから出れたら、この体験を語るんですね。
その時は、俺のことも言って下さいよ!」

無邪気にジャイアンが言う。

その姿を見て、美浜はピンと思いつく。

美浜(そうよ、この怪異を話せばまた有名になれるはずよ。
もし信じてもらえなかったとしても、携帯小説や語り手として売り出せばイケるはず。
私にはその才能があるのだから!うっふふふふ!)







258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:05:52.50 ID:xSBPy5VB0

急に美浜の顔が引き締まり、体に力が沸きだす。

ジャイアン「どうしたんですか?」

美浜「絶対にこの怪異から抜け出すわよ!ジャイアン君!
私はまだ終わっちゃいないのよ!!」

意気揚々と歩きだす美浜に一瞬呆然としながらも、ついて行く。

ジャイアン(急に元気になったぞ・・・
まあ、落ち込まれてるよりはいいわな!)

また一人、小さな少年達によって救われた人が増えた。

この物語は、どこへ行くというのだろうか。

幾共のループを繰り返してそれでもいけなかった先へ、いけるのだろうか。








261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:08:06.99 ID:xSBPy5VB0

【野比のび太 第2日/9:55:43 蛇ノ首谷 吊り橋】

のび太「ぜ、ぜぜぜぜ絶対渡れないよー!」

弱り切った声をあげるのび太の目の前には、吊り橋が有った。

壊れそうな、頼りない吊り橋が。

ぎしぎしと音を立てて多少の風でも揺れるそれは、幾らこの怪異の中成長したといえども、のび太に渡れるものではなかった。

高遠「でも、ここを渡らなかったら大分遠回りする必要があるかもよ?
まだ友達にも会ってないんだから、そこまで時間は使えないでしょ。
ね、先生が手を握っててあげるから」

のび太「それはそうだけど絶対に渡れないよ!落ちたら大変だし!
ね、先生、ここは諦めて遠回りしようよぉ~」

そう懇願するのび太。

こう言われては玲子には無理強いする事は出来ない。

高遠「うーん、仕方ないわね。遠回りしましょう」








263 :このシーンは原作と位置関係を多少変えています :2011/04/07(木) 16:10:55.72 ID:xSBPy5VB0

のび太「ホント!?流石先生!」

ぱあっとのび太の表情が明るくなる。

高遠(・・・・こんな異変の中でもこんなに明るくなれるなんて。
つくづく不思議な子ね。でも、いやな感じはしない。むしろ、凄く暖かくて素敵だわ)

ぼんやりとそんな事を考えながら、近くの丘を歩いて行く。

すると。

のび太「しっ、先生待って」

前を歩いていたのび太が立ち止まり、真剣な顔で何かを探るかのように辺りを見回した。

のび太(今、誰かの視界が過ぎった気がする。誰だろう)

視界ジャックをして辺りを探る。

前、右、左、後ろ・・・・・後ろだ。

のび太(さっきの橋の、反対側かな?立ち止まってる)

ゆっくりと、見つからないように丘の端へと移動する。

見れば、成程男の人が立っていた。








264 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:13:50.66 ID:xSBPy5VB0

目から血を流していない所を見れば、普通の人のようだ。

のび太(やった!また普通の人を見つけたぞ!)

そう思いのび太が接触を起こす前に、2人の男女が橋の反対側、のび太達のいる方から出てきて、その男に接触した。

のび太(また人が!?男の人の視界をジャックして見るに、この二人も普通の人もみたい)

普通の人が、一気に3人も。

のび太(皆で集まれば、十分化けもの達にも対抗できるはず!)

5人揃えば怖いものが無い。

その事を幾度もの冒険で知っているのび太は3人に自分の存在を知らせようと駆けだす。

しかし、次の瞬間。

のび太「!?」

のび太達の反対側の橋に居た男が懐から拳銃を取り出した。

銃口の向く先は―――――――――


―――――――――化けものではなく、2人の男女の、男の方へ。








265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:15:45.29 ID:xSBPy5VB0

のび太「な、なにしてるんだ!!」

本能的に危険を感じ取り、ポケットからショックガンを取り出す。

他人や周囲の危険を感知し、行動に移すことが出来る。

根が優しいのび太だからこそ体現することのできた芸当だった。

瞬時に狙いを定め一発撃ち込む。

バシュン!!

放たれた弾は一直線に男の構えた銃へ向かっていき。

バチィン!!

人に当たった時とはまた違う軽快な音を立てて、男の持っていた銃を川底へ跳ね飛ばした。

???「チッ、誰だ邪魔すんのは!!」

今にも殺さんばかりの憎悪を込めて、銃を飛ばされた男が叫ぶ。

のび太「う、動くな!動いたら撃つぞ!」

丘から飛び出しながらのびたが言う。








266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:18:21.66 ID:xSBPy5VB0

声を震わせながら。

しかし手元のショックガンを、全くのブレなく男にむけながら。

???「・・・ちっくしょう!!」

形勢不利とみたのか、男は捨てゼリフを吐きながら逃げだした。

のび太「・・・・・・・ふぃ~」

その背に追撃をかけることなく、のび太は緊張を大きく吐き出した。

高遠「のび太君!大丈夫!?」

あとから追いかけてきた玲子が心配そうな顔で聞く。

のび太「大丈夫、全く問題ないよ」

にこりと笑いながら親指を立てる。

???「ありがとう、助かったよ」

銃を突きつけられた男が、言った。

のび太「どうして銃なんか突き付けられたんですか?
あの人、化けものになっている様には見えなかったのに」

???「コイツを取り戻したくて、俺を狙ったんだと思う」








268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:20:40.17 ID:xSBPy5VB0

そう言って、隣に居る女の子を見る。

???「お前も、よそ者だな」

ぶっきらぼうに、女の子がのび太に向けて言った。

のび太「お、おまえって・・・そうだけどさ」

いきなりあんた呼ばわりされて困惑するのび太に、男の方が慌ててフォローする。

???「コイツ、村の儀式の為にあんまり人と関わった事が無いから口のきき方とかあんまり出来てなくて」

???「コイツって言うな。名前で呼べ。恭也」

女性は恭也と呼ばれた人物を睨みながら訂正を求めた。

ただし、睨んだ目に特別怒気が籠っているわけではなかった。

それよりも、どちらかというと子供が拗ねた時に含める感情の方が大きく思えた。

のび太(何だかんだで、良い感じの2人なんだな)








272 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:36:02.27 ID:xSBPy5VB0

須田「そういえば、自己紹介してなかったか。俺は須田恭也って言います。
夏休みを利用してこの村に来てました」

夏休み。

その単語がチクリとのび太の胸を刺したが、表情は穏やかなままのび太も自己紹介した。

追って玲子が自己紹介したあと、最後にぞんざいな口の聞き方をしていた女の子が、名乗った。

美耶子「・・・神代 美耶子。」

その名前を聞いて、玲子が反応した。

高遠「・・・・・みや、ちゃん?」

そう呟いた玲子に、美耶子も反応した。

美耶子「何故その呼び方を知っている!誰から聞いた!?」

高遠は視線を一度宙に浮かせてから、答えた。

高遠「貴女がみやちゃんだったの・・・・。春海ちゃん。四方田 春海ちゃんから聞いたの。
秘密だって言われてたけど・・・・」

美耶子「春海は無事なのか!」

高遠「今の所無事だと思うわ。断言は出来ないけど・・・」

美耶子「そうか、無事なのか」








275 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:42:13.09 ID:xSBPy5VB0

初めて、美耶子がほっとした表情を見せた。

のび太(顔は可愛いけど、性格がなぁ。やっぱりしずかちゃんの方がいいや)

そんな勝手な批評をしていると、南の方を見て、恭也が声をあげた。

須田「あれ、なんだろうあれ・・・・
前に見た時になかった気がするけど」

その声に反応して皆が一斉に南を見る。

遠くにみえたのは、建物、というより集落。

光を避けるかのように板をすき間なく繋ぎ合わせたそれは、いびつな形で高く広く広がっていた。

のび太「なんだろう、あれ・・・」

美耶子「おそらく、屍人達が光を避けるために作ったんだろう」

のび太「屍人?」

美耶子「街中を徘徊している化けものだ。お前も会っただろ」

のび太「あの化け物の名前は、屍人って言うのか・・・」

高遠「このまま放っておいたら、どこまでも肥大化しそうよね・・・」

高遠が言うのを皮きりに、皆が一斉に顔を見合わせた。








278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:49:39.22 ID:xSBPy5VB0

言葉を出さなくても、目が物語っている。

皆思っている事は一緒であると。

のび太「なんだか、いかなきゃいけない気がする」

須田「俺もだ」

高遠「何かに、呼ばれてるみたい」

美耶子「なんでだろう。行きたいなんて思わないのに。
いかなきゃいけない気がする」

のび太「・・・・・・・・いこう」

遠くの建物を見据え、のび太歩き出す。

それを追いかけるように他の3人も歩き出す。

何かに呼び寄せられるように、5人は歪な建物、屍人の巣へと向かい始めた。

のび太(あそこに行けば、皆に会える気がする)

その気持ちは、叶うのか。








279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:53:04.17 ID:xSBPy5VB0

【八尾 比沙子 第2日/10:07:23 蛇ノ首谷 吊り橋付近】

八尾「美耶子を、奪還できなかったのね」

???「くっ、次はなんとかする!」

八尾「その必要は無いわ」

???「え?」

八尾「亜矢子を使う」

???「そんな、待てっ!次は絶対に・・・」

八尾「もう時間が無いの。
儀式を執り行うわ。ついてらっしゃい」








283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:57:15.79 ID:xSBPy5VB0

【源 しずか 第2日7:00:00 刈割 不入谷教会前】

しずか「本当に良かったの?」

前田「うん、いいの」

教会に隠れていた両親と無事再開した友子は、親と仲直りをした。

しかし、親の一緒にここで隠れていようという誘いを断り、友達を探すしずかと共に行動する事を選んだ。

しずか「見つかるまでどれだけの時間がかかるかもわからないのよ?
無理をしてついて来なくても・・・」

心配そうに友子を見るしずかの手を握り、友子が言う。

前田「しずかちゃんのお陰で私は助かったの。我儘を聞いてもらってお母さん達も探してもらった。
そこまでされたのに、私だけ何もしないなんていやだわ」

握る手の力を強くして、一呼吸間をおいてから友子が言葉を続ける。

前田「それに私達・・・・友達でしょう?」





第三章 重なる歯車 終







284 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:58:45.91 ID:xSBPy5VB0

>>278訂正
×5人
○4人

>>283訂正
×友子
○知子

間違いが多く申し訳ない








286 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 16:59:55.18 ID:zfOG4MAKP

屍人勝手にPTに加わっとるwww







287 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 17:00:41.18 ID:r6nvzGkY0

ちくわ大明神レベルの溶けこみっぷりだな




第四章につづく…
http://kanisokuhou.doorblog.jp/archives/51070098.html


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