2011年4月12日火曜日

のび太「羽生蛇村?」

関連スレ
のび太「羽生蛇村?」一章
http://kanisokuhou.doorblog.jp/archives/51068269.html


79





77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/06(水) 22:39:29.31 ID:JICdZaHU0

【野比 のび太初日/23:33:21 刈割 廃倉庫】

のび太「随分変なところまで来ちゃったなぁ・・・」

休んだり、軽く寝たりしながらドラえもんをさがしてかなりの距離を歩いたのび太だったが、ドラえもんも皆も一向に見つけることが出来なかった。

のび太「役に立ちそうなものも見つからないし・・・・ライターは1つ見つかったけど」

夜も更けてきていて、ライター一つでどうにかなる暗さでもない。

のび太「足下くらいは見えるけどさ・・・・燃料もそんなに入ってないから、無駄遣いは出来ないし」

ぼやきながら歩き続けると、足下にジャリっという何か金属片を踏みつけた感触があった。

のび太「ん、何だろうこれ・・・・・鍵?」

踏みつけたのは、何かの鍵。

のび太「何の鍵だろう・・・・もしかしてあの車の・・・・?」

鍵を拾った所から少し先の斜面に、車が見えた。



ここから前スレで書いてなかった部分投下
ここら辺で書き溜めの3分の1位









123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 00:55:22.62 ID:xSBPy5VB0

ようやくボボンから帰ってこれました
保守支援感謝です


もしかしたらあの車の持ち主が落としたのかもしれない。

そう思い、車に近づいてみる。

あきますように。

そう願い鍵を車のドアに差し込む。

ガチャ・・・・・・ギィ

僅かに軋む音がして、鍵が回った。

のび太「あ、開いた!」

急いで車に乗り込んで、中を探る。

何か使えるものは無いかと。

のび太「ううーん、暗くてよく見えないよ」

元々目が悪いのび太なのだ、暗がりではダッシュボードの中などは到底見る事が出来ない。

のび太「車のエンジンをつけて、中の電気をつけてみよう」

そうすれば自分にも見えるはず。








124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 00:56:19.25 ID:xSBPy5VB0
たどたどしくも視界ジャックで周りを確認して安全な事を悟ったのび太は、勢いよく車のキーを回して、エンジンをかけた。

右足を、無意識のうちにアクセルに乗せたまま。

ブルルルルルルン!!ブオオオオオン!!!

エンジンをふかすと同時に、アクセルを入れられた車は勢いよく発進した。

のび太「うわわわわっ、なんでぇ!?」

急に発進した車に不安定な体制ののび太がついていけるはずもなく。

ズザザザザザザ!!ドッシャーーーーーーン!!

勢いづいた車は止まることなく斜面を滑り落ちて、のび太を吹き飛ばしながら斜面の下にある隆起した地面へ追突した。

のび太「あいちちちち・・・・・・なんだよ、もう!勝手に動いちゃって!」

折角何か手に入ると思ったのに。

やり場のない怒りをその場の地面にぶつけ、土を蹴っ飛ばす。



屍人「う゛あん゛?」








126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 00:58:19.25 ID:xSBPy5VB0

不幸とは連鎖するものだと言ったのは誰か。

のび太の蹴った土は遠くへ吹き飛び、音を聞きつけてきた屍人の頭にぶつかった。

のび太「うわあああ~~~~ん!!」ダダダダダッ

逃げる。

逃げる。

遠くまで。

くたくたになった足を動かすのは、生存本能か、それとも長年培ってきた逃げることへの執念か。

走って走って。

逃げて逃げて。

のび太「はぁ・・・・はぁ・・・・・・はぁはぁ・・・はぁ・・・」

視界ジャックしても何も引っかからない事に気づく頃にはのび太の息はすっかりあがっていた。








127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 00:59:55.64 ID:xSBPy5VB0

のび太「はぁ・・・・はぁ・・・はぁ・・・もう、嫌だよ・・・・ドラえもん」

この地獄へ来てから幾度となく呼ぶ友の名前。

返事は未だにない。

カツンッ

返事の代わりか、近くで物音がした。

固いもの同士が当たる、そんな音。

のび太「な、ななな何?」

震えながら、そっと物音のしたほうをみる。

のび太「なんだろう・・・・灯ろう?」

そこにあったのは、その場に似つかわしくない、灯ろうだった。

のび太「火を、付けてみようかな」

何故だかそうしなきゃいけない気がして。








129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:01:18.31 ID:xSBPy5VB0

ライターを使ってそっと灯ろうに火をつけた。

すると。

シュワーーーーー・・・・・

何とも言えない音が鳴り、灯ろうから得体の知れない白い物体が舞い上がった。

のび太「うわ゛-、なんかやっちゃったー!?」

何かイケないものでも召喚してしまったのか。

全身が硬直してその場から動けなくなる。

のび太「・・・・・・・」

のび太「・・・・・・」

のび太「・・・・・・?」








130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:03:05.00 ID:xSBPy5VB0

暫く何が起こるかと身構えてみたものの、全く何も起こらない。

物音ひとつせず、視界ジャックをしてみてもうつるのはノイズだけ。

のび太「は、ははは、ははははは!
な~んだ、ただの埃かな。びっくりした~」

大げさに笑いながら、その場をあとにする。

この時の行動が、奇跡ともいえるタイミングでの行動は。

後に重大な意味を持つことを、のび太が知る事は無い。

のび太「それにしても大分走って疲れちゃったな・・・・
高台みたいなところがあるし、そこで一休みしよう」

ゆっくりと歩みを進めて近くに見える高台(といっても地面が隆起しているだけの場所だが)に行く。

のび太「ふぅ、これでやっとゆっくりいられるかな」

高台の上に腰をおろし、来てからの事を考える。

のび太(どうすればこの場所から帰れるんだろう・・・
ドラえもんもいないし、スペアポケットもない。
皆に会う事も出来ないし、会うのは皆怪物ばかり。いやになっちゃうよ)








132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:04:15.78 ID:xSBPy5VB0

こんなところに来たいなど言わなければよかった。

今更すぎる後悔が胸を刺す。

のび太「・・・・・・・・ん?」

どことなく暗い気持ちに浸かっていると、ぼんやりと自分の見ている物と違う視界が浮かび上がった。

のび太(ジャックしてみよう・・・)

意識を集中させて、脳裏に浮かび上がる視界を捉える。

のび太(女の人が見える視界と、女の子が見える視界・・・隣り合っているのかな?)

2つ捉えた視界をそれぞれ見てみると、それはとても似ていた。

視界の状況から察するに、おそらく2人並んで歩いているのだろう。

のび太(・・・・・・そう言えばこの人達、目から血を流していない!
それだけじゃない、ちゃんと言葉も話しているみたいだぞ!もしかして、この人達――――)

生きている人かもしれない。

言葉を出すよりも早く高台を蹴って視界の元へ向かう。








134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:06:24.81 ID:xSBPy5VB0

やっと、ここにきて初めて普通の人に会える。

不安にくじけそうになっていたのび太の心に、僅かな希望が芽生えた。

のび太「はっ・・・はっ・・・・はぁ・・・確かここら辺に・・・・いたっ!!
・・・・・でも何だろう、様子が変だ」

高台からでうまく見えないものの、女の子が何やらビニールシートのかぶさったリヤカーの中に乗せられていた。

そして、一緒に居る女の人がその場を離れると、何と女の子が入ったリヤカーを、屍人がもって運んでいった。

のび太(大変だ!女の子が連れてかれちゃうよ!)

屍人を狙撃しようとポケットからショックガンを取り出すのび太。

その引き金を引く前に、女の人が声をあげた。

???「春海ちゃん!!」

声をあげながら、近くにある給油車のクラクションを鳴らした。

???「先生が・・・絶対助けてあげるからね!」

給油車のハンドルに手をかけながら、女性が叫ぶ。








135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:06:52.12 ID:cdoAAmgb0

うわああああ先生!







137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:08:03.15 ID:xSBPy5VB0

その声に反応して、近くに居た屍人が一斉に女性の方を向く。

のび太(あ、あの人。まさか!)

屍人の注意をひきつけるために自爆する気だ―――――

のび太「そんなこと、させてたまるもんか!!」

ショックガンを構え、立て続けに放つ。

ドシュンドシュンドシュン!!!

1人、2人、3人。

狙われた屍人は全員被弾して倒れていく。

のび太「今の内に逃げて!!」

いきなり屍人が倒れていく状況に戸惑っている女性に向かって叫ぶ。

のび太(さっきの子が乗ったリヤカーは・・・・ダメだ、もういない!)

目と視界ジャックを駆使して探すも、女の子が乗っていると思わしきリヤカーは見当たらなかった。

のび太「ここにいたらぼくも危ないかしら・・・・ひとまず身を隠せる所を探そう」

高台から身を翻し、斜面を下りていく。

すると、遠くから先程屍人に囲まれていた女性が走って来た。








139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:10:59.39 ID:xSBPy5VB0

???「待って!!」

ザッザッザッと意外に早いスピードでこちらへ駆けてくる。

近くで顔を見てもはやり血の涙を流していない事に安心する。

???「ハァ・・・・ハァ・・・んっ・・・あなた・・・・は・・?
助けてくれたの・・・・?」

息を切らせながら、女の人が質問してくる。

のび太「ぼくは、野比のび太って言います。訳あって、遠い所からここに来たんですけど、帰れなくなってしまって・・・」

高遠「のび太君・・・・か。私は、高遠玲子っていうの。この村で教師をやっている」

のび太「先生でしたか・・・・」

この人が先生で、あの子が生徒だというのなら。

あの先生の無茶な行動も、どことなく納得することが出来た。

勿論、自分の担任の先生を思い浮かべたわけではないが。
のび太「あの子は、どうしてリヤカーに?」

高遠「貨物に紛れた方が遠くへ逃げれるから・・・この近くに学校があるんだけど、そこが凄い危なくて・・・」








141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:11:50.57 ID:xSBPy5VB0

のび太「そうだったんですか・・・・
あ、その学校に、ぼくたちみたいな元気な人はいませんでしたか?
あとは、青色のロボットとか」

高遠「・・・・残念ながら見てないわ。あなたのお友達なの?」

のび太「ええ、かけがえのない友達です」

高遠「そうなの・・・
わかったわ、私も一緒に探してあげる」

のび太「え、良いんですか?」

高遠「教師として、子供をこんな場所に一人で放っておけないわ」

教師として、ね。

自嘲気味に自分の言葉を反芻する高遠に少し疑問を抱きながらも、ここは素直に甘える事にした。

のび太自身、ずっと一人で心細かったのだ。

どんな人であろうとも、近くに居てくれて悪い事は無い。








142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:13:52.52 ID:xSBPy5VB0

のび太「大体、どこら辺に人がいきやすいとかありませんか?
ここの土地感が無いから、どこに行けばいいかわからなくて・・・」

高遠「それなら、ここからちょっと遠いけど蛇ノ首谷なんかがいいかもしれないわね。
川沿いに進むと、自然とそこへ着くから」

のび太「そうなんですか・・・・
じゃあ、案内たのんでもいいでしょうか?」

高遠「勿論よ。気をつけていきましょうね」

こうしてのび太達は、2人連れだって蛇ノ首谷へと向かう事になった。

物語の進む先は、まだ見えない。




【八尾 比沙子 初日/23:59:59 ???】

「とても嫌な空気がするわ」

「忌々しい気分になるの」

「時間の歪みもある気がする」

「なんとしても儀式は成功させないと」








143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:15:16.35 ID:xSBPy5VB0

【骨川スネオ 初日/22:48:01 宮田病院前】

スネオ「なんだろう・・・この建物」

スネオが見上げた先には、大きな建物が聳え立っていた。

病院にも刑務所にも見えるその建物は、他の場所と同じく絶えず重く暗い雰囲気を醸し出している。

スネオ「なんだか、入りたくないなぁ・・・」

目の前に入口が見えるも、踏ん切りがつかず中々前に進む事が出来ない。

スネオ「人がいるかもしれないけれど、当然その逆もあるんだし・・・」

仮にこの病院(または刑務所)に人がいたとして、それが全て屍人になっていたとしたら。

スネオ(とてもじゃないけど、助からないぞ!)

うろうろと辺りを歩き回って、時々建物を見上げて。

やっぱりやめようと踏ん切りをつけて踵を返そうとした時。

ガシャーーン!!

???「いやっ!!」

短い悲鳴と、ガラスの割れる音が闇夜に響く。








145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:17:21.11 ID:xSBPy5VB0

スネオ「な、なんだぁ!?」

振り向きかけた体を向き直し、建物の窓を見る。

窓に割れた形跡はないものの、意識を集中させていると何かが走る音が聞こえてきた。

タタッ、タタッ、タタッ、タタッ

足音は、二つ。

スネオ(誰かが、襲われているのかもしれない!)

ぼんやりとだが、そう思う。

悲鳴は女性のものだった。

スネオ「も、もしかしたらしずかちゃんが・・・・!」

可能性は十分にあり得た。

スネオ「こ、このままじゃ危ない!」

急いで病院のドアを通過し、音の聞こえた方へと向かう。


ヤバい第二章終わる前にまたボボンに投げ込まれそう








151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:30:20.78 ID:xSBPy5VB0

普段のスネオなら、何もせずにただ聞かぬふりをして逃げていただろう。

しかし、今のスネオは敢然と立ち向かう事を決めていた。

ここに来るまでに、何体かの屍人を相手に出来ていたから。

逃げてばかりの自分ではなく、たち向かう自分を知ることが出来たから。

皮肉にもこの怪異は、スネオの精神を大きく成長させる要因になったのだ。

スネオ「どこだどこだどこだ~?」スススススス・・・・・・

音をたてず、早く動く。

ペンライトをかざしながら音に聞き耳を立てる。

スネオ「どこだどこだ・・・・・んん?」

―――――――――――コツン、コツン、コツン

微かに耳が音を捉える。

アスファルトを蹴る音。

人の歩く音。

いや、頻度からして走る音だろう。








153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:31:52.13 ID:xSBPy5VB0

スネオ「丁度この真上の辺りか・・・・行くべきかな」

近くの階段に足をかけて、止まる。

スネオ「いや、待てよ・・・。もし、相手が屍人だったら、無事じゃ済まないかもしれないぞ」

足音を聞く限り相手は走っている。

女性といっても大人だ。

スネオの足では、追いつかれてしまう可能性も十分にある。

スネオ(視界ジャックをしても、息が荒いせいか良くわからないし・・・どうしようかな)

一瞬考えてから、はたと思いつく。

スネオ(ラジコン粘土を工夫すれば・・・・!)

ラジコン粘土は、ある程度形を自由に決める事が出来る。

それはつまり、走れる、または動ける造形であれば何でも構わないということ。

たとえ、文字の形であったとしても。








155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:34:41.80 ID:xSBPy5VB0

スネオ(視界ジャックで大体の位置を確認して・・・あとは届くまでやるだけさ!)

失敗すれば、最悪こちらの位置がばれるかもしれない。

そんな不安を織り交ぜながら、ラジコン粘土を発進させる。

賭けだった。

ウイーーーーーン・・・・・・

僅かな音を立てて、ラジコン粘土が動き出す。

階段を上り、通路を駆け抜け、ラジコン粘土は行く。

音の聞こえた方へ。

スネオの託したメッセージを伝えるために。

ウイーーーーーーーン・・・・・・ピタッ

スネオ(・・・・・・・・・・・・・・・接触したぞ!!)








157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:36:29.55 ID:xSBPy5VB0

視界ジャックにより、接触を確認するスネオ。

スネオ(さぁ、読むかな!)

???「・・・・はぁ・・・・はぁ・・・こ、これは・・・
文字・・・?よめる?・・・・・なにが・・・・?」

スネオ(よし、人だぁ!)

歓喜して、階段を上って声の主の元へ行く。

書いた文字は、『よめる?』。

確かに、声の主は読んでくれた。

賭けは、成功したのだ。

タタタタタッ

走って階段を駆け上がり、幾許かの通路を越え進むと、通路の端に女の人がしゃがみ込んでいた。

スネオ「はっ・・・・・はっ・・・はっ、だ、大丈夫ですか?」

???「え、あ、ああ、大丈夫よ。あ、あなたは?」

イキナリ息を切らせながら走って来た子供の質問にうろたえながらも、女性はしっかりと大丈夫と言った。








158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:37:24.34 ID:xSBPy5VB0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

スネオ「ぼ、ぼくは骨川スネオって言います。わけあって友達と離れちゃって困ってたんです。
それにしてもちゃんとした人がいるなんて・・・」

恩田「私は恩田理沙。この診療所に勤めている姉に会いに来たんだけれど・・・」

そこで言葉を切って、女性が俯く。

スネオ「だけれど・・・・?」

空気を察せず、スネオが追及しようとした時。

答はそちらからやってきた。

???「キョオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーー!?!!?!!?」

スネオ「な、なんだ!?」

耳をつんざくような音がスネオの来た方向から聞こえてくる。

これは何の音なのか?

人の声でもなく、何かが壊れた音でもなく。

独特で、不快な音。

スネオ「な、なんだあれ・・・・ひ、人なの・・・?」

恩田「・・・・・・・・・・・・お姉ちゃん」








161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:41:10.03 ID:xSBPy5VB0

スネオ「え?」

ぽつりと、恩田が呟く。

遠くに見える、人影に向かって。

聞き間違いかと思った。

聞き間違いであってほしかった。

お姉ちゃんと呼ばれた人影は、遠くからゆっくりと迫ってくる。

鳴き声のようなものを響かせながら。

顔であろう部分に、バナナのような胎動する物体を貼り付けながら。

恩田「美奈お姉ちゃん!」

恩田が異形の屍人に向かって叫ぶ。

自分の事を思い出させるかのように。

本当に姉なのか確認するかのように。

美奈「キョエエエエエエエエエエエエウウウウウウウウ!!!!!!」

答えるように、甲高い音を立てて美奈と呼ばれた屍人が鳴く。








162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:42:22.74 ID:xSBPy5VB0

スネオ「な、なんて・・・なんてことだよ・・・・・」

やるせない気持ちと、言いようのない恐怖がスネオの胸の中に渦巻く。

親しいものが異形化する。

そのショックはどの位なのだろうか。

たとえば、のび太が屍人になってしまったら?

ジャイアンが、しずかちゃんが、屍人になってしまったら?

スネオ「・・・・・耐えられない)

それは心の呟きか。

それとも喉から出た絶望の言葉か。

立ちつくし逃げようとしない恩田とゆっくりと近づいてくる美奈。

その両方を一瞥してから、恩田の手を無理やり引っ張る。

スネオ「に、逃げようよ恩田さん!」








163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:43:15.07 ID:xSBPy5VB0

その言葉は果たして恩田にいったのか。

もしかしたら、現実を受け止めたくない自分にいったのかもしれない。

恩田「ここの奥に非常階段があったわ!」

ようやく正気を取り戻したのか、恩田が奥の道を指さす。

その案内に従って、全力で走る。

ダダダダダダダダダダダダッ

通路を降り、非常階段を下り、一階へと降りる。

スネオ「この先はどうするのさ!」

恩田「こっちよ!こっちに行けば宮田先生と牧野さんがいるわ!」

恩田に促されるままに、走り出す。

走り出しざまに視界ジャックをして美奈の視界を見ると、的確にこちらの方へ歩いて来ていた。

スネオ(参ったな、他の怪物より頭が良いみたいだぞ・・・・
体が人間っぽくないやつは知能が高いのかな)

少し距離を開ければ捲けた他の屍人とは違い、美奈は的確に追いかけてきた。








165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:44:21.26 ID:xSBPy5VB0

ダダダダダダダダッ

走る。

決して早くは無いけれど、力を振り絞って走る。

殺されないために。

明日を生き抜くために。

恩田「扉はすぐ先よ!頑張って!」ダダダダダダ

スネオ「はぁっ・・・・はぁっ・・・・・はっ・・・うわっ」ダダダダダ・・・・ズドッ

ここまで来るのに疲労した足はスネオの意志に反し止まってしまい、スネオは盛大に転んでしまう。

恩田「スネオ君っ!!」

スネオ「早く人を呼んできて!!」

起き上がっても満足に足が動かないと判断したスネオは、恩田に早くいくように促す。

ここで両方が止まってしまっては、最悪の結末になりかねない。

スネオ「く、なんだってこんなところで・・・・」ズルズルズル・・・・

足を引きずりながら這うように進む。

ゆっくりとしか進めないその速度では、追跡してくる屍人を捲く事など出来るはずもなく。








167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:45:09.20 ID:xSBPy5VB0

美奈「ウウウウウウウエエエエエエエエエエエエエエウウウウウウウウウウ!!」

程無くして、スネオは美奈に追いつかれてしまった。

残忍な捕食者はいつの間にか手に持っていた大型のスコップをカツリと響かせて、鳴く。

獲物を捕まえた喜びを表現するかのように。

弱きものを甚振れるであろう状況に高揚しているかのように。

スネオ「あ、あ、マ、ママァーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

必死に逃げようとするも、足は動かず腰も立たない。

手に持っていたペンライトを投げつけるも、そんな抵抗など一瞬の隙作りにもならない。

スネオ「あ、あ、や、ヤバい・・・・本当に・・・・」

生物としての本能か。

スネオの意識が徐々に幕を下ろしていく。

せめて最後は痛みを感じないようにとする、儚い防衛本能の表れか。

混濁していく意識の中でスネオが見たものは。

いつか月明かりに照らされていた男が何かを投げる姿と、牧師姿の男が自分に手を差し伸べる姿だった。








169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:45:53.88 ID:cO7wl4DC0

こういう人間の姿じゃない奴なんて言うんだっけ


>>169
頭脳屍人
ブレインともいう








171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:47:37.33 ID:46JTx/XT0

志村「まだ、死ねねえよなぁ・・・・」

ドラえもん「」

志村「お前さんを見てると、なんだか懐かしい感じになっちまう」

ドラえもん「」

志村「どうせ尽きる命だ、最後に何をしてもいいだろう」








174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:48:47.84 ID:xSBPy5VB0

【宮田 司郎 初日/23:03:48 宮田病院 第一病棟一階廊下】

宮田(コイツ・・・・森で寝てたやつじゃないか・・・
こんなところまで何しに来たって言うんだ?
俺をつけて来たのか、それとも偶然なのか。
もう少し様子を見て、何か言ってくるようなら殺すか)


第二章、接触 終








176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:53:37.45 ID:xSBPy5VB0

3回猿食らったしとりあえず今日はここまで
これで書き溜め半分位投下した
明日も同じ様に投下していきます
ちなみに言ってしまうとこのSSに多門さんは登場しません
それ以外の主要キャラは全員登場します
はやくツンデレ美耶子ちゃん出したいのに出番が当分後で吊りたい








178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/07(木) 01:56:50.37 ID:ETYcI+AtO

面白かったありがとう
明日も楽しみにしてます










第三章につづく…
http://kanisokuhou.doorblog.jp/archives/51069047.html

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